大下:総理と解散について話し合ったことはない?

二階:総理と官房長官に全てを預けております。官房長官といろんな問題で打ち合わせをしてます。年明け解散とかいろいろ観測がされましたが、解散のことで意見を交換したり質問を投げかけたことは一回もございません。

菅:「幹事長がこんな話を言ってますが、どうですか?」と聞いてくるが、普段話していることと全く変わっていないことを、大げさに書かれたりするんですよ。

大下:幹事長は「官房長官に伝えれば、必ず総理に伝わるし、総理に伝えておけば、全部官房長官に伝わる」とおっしゃっていた。

二階:これが政権の強みです。ここにちょっと隙間があるとか、人によっては付け足す人もあったり、差し引きする人もいる。

菅:そういう人はいっぱいいますよね(笑)。

二階:官房長官はその点は全く信頼できるから。総理も信頼しておられる。それがなければ、本当、政治にならないですよね。

大下:総理に聞いたのですが、例えば10の案件を三つに絞って、ABCで「総理どう思われますか」と言う時に、単なるABCだけじゃなくて、菅さんは「B案がいいと思いますが、総理はどう思われますか」という形にするということをおっしゃったんで、すごいなと思ったんですけれど。

菅:今、ほとんど違いはないんです。総理の考え方はわかってますから。こういう感じでいかがですかということは必ず上げて、了解をもらってます。

二階:総理と官房長官の間に、ほとんど違いがないことが、今日の安倍政権、自民党政権の安定のもとなんですよ。ですから、われわれも安心していられます。

大下:官邸と党が時にぎくしゃくしたりということが普通ありますけど。

菅:幹事長に難しい問題をまとめていただいています。農業改革にしても、党内でいろんな意見が出てきますよね。私は幹事長が総務会長時代から、内緒でご相談させていただいて、まとめていただいたんです。軽減税率の問題も、これは表に出てませんが、全部、幹事長にご相談させていただきました。

大下:本当に今の自民党と官邸とのつながりの強さはすごいですね。

二階:官房長官も私も人前でそんな派手なことは言いませんけど、われわれは何かがあったら、お互いに責任を取る覚悟がある。

大下:天皇の退位問題について、政府は一代限りの特例法制定の方針のようだが、民進党などは皇室典範改正を主張しています。

菅:政府として陛下のお言葉を重く受け止め有識者の皆さまにお願いして、陛下のご公務の負担軽減を図るための方策について論点整理をしていただいた。国会では、皇室会議の議員でもある衆参両院の議長・副議長の下に検討の場が設けられ、議論が進められている。総理から議長・副議長に、この議論の参考にしてくださいとお願いし、私からご説明させていただいた。国会での議論をしっかりと受け止めて、政府として更に検討を進めていきたい。

二階:議論はこれからです。(構成 本誌・村上新太郎、上田耕司)

週刊朝日  2017年2月17日号より抜粋