今年の大学入試センター試験 (c)朝日新聞社
今年の大学入試センター試験 (c)朝日新聞社

 国公立大の2次試験の出願が2月1日締め切られた。昨年までの「文高理低」の流れは今年も変わらないが、難関大の後期日程廃止の影響など、変化も出ている。

 東京大は2月2日時点で、志願者数が9525人と昨年度より約250人多い。倍率が高くなったのは、3.3倍の文I、3.2倍の文II、4.0倍の理IIだ。

「昨年は文IIIの倍率が高く、文I・文IIは(倍率が低くて)2段階選抜がなかったため、今年は志願者が増えたと思います。理系は理Iが減り、理IIが増えました。東京工業大の前期の志願者数が昨年の3892人から4167人へと大幅に増えています。理Iから東工大へ志望変更があったと考えられます」(駿台予備学校進学情報センターの石原賢一センター長)

 なぜ志望変更が広がったのか。センター試験の国語が難しかったことと両大学の合否判定の違いが背景にある、と石原さんはみる。

 東大は、センター試験と2次試験の合計で合否を決める。東工大はセンターの点数が基準点を超えていれば、2次の点数のみで判定する。今年のセンター・国語(200点満点)の平均点は、昨年より22.43点減の106.96点。国語で失敗した理I志望の生徒が、東工大へ流れたとみられる。

 もう一つ、石原さんが東工大人気の要因としてあげるのが、大隅良典栄誉教授のノーベル医学生理学賞受賞。基礎研究の大切さを訴えるメッセージが受験生の心に響いたのかもしれない。

 京都大は、医学部人間健康科学科が専攻別募集から学科一括募集となった。昨年度は専攻別で1.7~2.7倍だった倍率が、今年度は4.4倍に。名古屋大は、新設の情報学部が倍率3.2倍と人気を集めている。

 大阪大は新たに「世界適塾入試」(推薦入試とAO入試)を今年度から始め、文系・メディカル系の後期日程を新たに廃止した。東大の推薦入試や京大の特色入試も含め、推薦入試やAO入試を広げて後期日程を縮小する動きが続く。

 こうした影響について、石原さんは「一橋大、お茶の水女子大、横浜国立大、神戸大、九州大など難関大の後期日程文系の志願者が増加しています」と話す。

 たとえば、九州大は2月2日時点で、後期の志願者が2755人で前年より100人超増えた。倍率は8.8倍で、前年の8.4倍より上がった。また、大阪市立大は2月2日時点で後期日程の倍率が14.6倍と、前年の10.5倍より大幅に上がった。

週刊朝日  2017年2月17日号より抜粋