尊敬する先輩の泳ぎを、自分なりにアレンジ。北島さんはキックで足を引くときの膝の使い方に特徴があったが、渡辺選手は肩。

「ぼくは肩が軟らかいので、水をかき終わって両手を前に伸ばすとき肩を外すというか、前に出すことをいつも心がけています」

 このようにして前に進む際に肩をすぼめて、抵抗が少ない泳ぎを実現した。

 昨夏のリオ五輪では、200メートル平泳ぎの準決勝で2分7秒22の五輪新をマークしたものの、決勝では記録を落として6位に終わった。

 そのときをふりかえった上で、渡辺選手は言う。

「五輪の悔しさは五輪でしか晴らせない。まずは今年の世界選手権の決勝でしっかり世界新を出して、ぶっちぎりで優勝したい」

 泳ぎの技術を磨き抜くDNAを継承する大分出身の19歳が、北島さんの「有言実行」も引き継げるか。4月の代表選考会を経て挑む7月の世界選手権(ブダペスト)が試金石になる。

週刊朝日 2017年2月17日号