プロゴルファーの丸山茂樹氏が、2017年が始まって早々の松山英樹の活躍に「立派なもの」と称賛する。

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 新年早々、松山英樹(24)が2位に入りました。米PGAツアー2017年最初の大会、SBSトーナメント・オブ・チャンピオンズ(1月5~8日、ハワイ州カパルアのプランテーション・コース)です。2打差の2位で出た最終日は70で、優勝は23歳のジャスティン・トーマス(米)でした。

 とはいえ、16年の10~12月の5戦4勝に引き続きの優勝争いですからね。まあ、精神的にタフですね。もう完全に米ツアーの顔ですよ。

 この試合は前年の優勝者だけが出られます。すごく起伏のあるタフなコースですね。僕も出ましたけど、もう英樹みたいに正月明けからちゃんとした調整はできなかったですね。「出だしはゆっくりでいいや」みたいな感じでした。ハワイを満喫しながら楽しく、という感じで行っちゃってたんでね。英樹はたいしたもんです。ものの考え方が違います。ハハハ。英樹に最後に会ったのは去年の12月中旬で、「あとは実家でのんびりするだけです」なんて言ってましたけど、そうゆっくりもしてられなかったでしょうからね。それでいきなり優勝争いなんて、ほんと立派なもんです。

 あったかいハワイで前年の優勝者が集まって、というと聞こえはいいんですけど、実は選手にはあんまり評判よくないんですよ。遠いし、できればやめてほしい、って。僕なんかは大好きでしたけどね。ツアー優勝しなきゃ出られないんですもん、それはもう全然違いますよ。

 話は変わりまして、サッカー界でショッキングなニュースが飛び込んで来ました。Jリーグ横浜F・マリノスのMF中村俊輔選手(38)がジュビロ磐田に移籍することになりました。長きにわたってマリノスの顔でしたから、残念です。彼はファンにこんなコメントを出してます。

 
「2016シーズンに至ってはいろいろなことがありました。社長をはじめ、強化部長、他が変わり、現場でもさまざまな変化がありました。キャプテンとして、マリノスの一員として、一人の人間として、いろいろなことに向き合って来ました。スポーツ、サッカーの本質であるべきもの、例えば楽しさ、喜び、信頼、感謝などを持ちプレーすることが、自分は何よりも大切だと思っています。自分の魂であるサッカーと現役を退くその最後の瞬間まで、真摯(しんし)に、そしてなによりも喜びと楽しさを持って向き合うため、懊悩煩悶(おうのうはんもん)の末、マリノスを離れる決断に至りました」

 親会社の日産自動車が資本提携して編成面で権限を持つシティ・フットボール・グループ(英国)の意向が強くなってきたことが背景にあるようです。マーケティングが難しいんでしょうね。

 リーグ戦だと毎回スタジアムが満杯になって収益が上がるチームはごくわずか。代表戦は満員ですけどね。そこに問題があるんでしょうね。ヨーロッパなんか、全部満席ですもんね。日本は娯楽のたくさんある国だから、よっぽどの魅力がないと、高い入場料を払ってスタジアムには行かないんでしょう。

 中村選手には、ジュビロ磐田でもう一花咲かせてほしいです。

週刊朝日 2017年1月27日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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