本誌のスクープをきっかけに明るみに出た都立広尾病院移転問題(※写真はイメージ)
本誌のスクープをきっかけに明るみに出た都立広尾病院移転問題(※写真はイメージ)

 本誌のスクープをきっかけに明るみに出た都立広尾病院移転問題。豊洲市場に続く「第2の問題」とも言われたこの問題に、小池百合子氏が斬り込んだ。
 
 小池氏は昨年12月25日の「新報道2001」(フジテレビ)に出演。東京都が進め16年度予算に370億円の費用を計上していた広尾病院の青山への移転計画について「現時点で白紙」「予算の執行もない」と、言い切った。

 この問題は本誌が9月にいち早く報道。築36年の広尾病院は「老朽化」から現地での改築が検討されていたが、15年秋に突然、23年に青山の「こどもの城」跡地への移転案が浮上。医師会などへの説明もないまま16年度の予算案に用地買収費が計上されるという不可解な経緯で計画が進められた。

 15年6月にみずほ情報総研が都の依頼で作成した調査報告では、現地での改築が強く推されていた。だが、7カ月後に別の設計事務所が都の依頼で作成したもう一つの報告書は、一転して移転を推奨。都議会で広尾病院の問題を追及する斉藤あつし都議(都議会民進党)がこう語る。

「私が入手した都の資料では、設計事務所に調査を依頼する『仕様書』に『病院の運営を継続しながら現在の病院敷地内に大規模な建築物を改築するのは非常に困難であると想定されている』とある。つまり最初から『移転ありき』で調査を発注した疑いがあります」

 現場の声を無視してハコものありきで計画を進めた結果、誤算が続いて費用が膨れ上がる……まるで豊洲市場と同じような失敗が繰り返される可能性があったのである。

 昨年12月の都議会で知事の答弁を求めた斉藤都議にも、都職員は「知事はこの問題には関心がないですから」とそっけない返事だったというから、急転直下の白紙決定だった。

 移転か改築かを決める都の検討会は現在も続くが、「1月末には17年度の移転費用の予算化は見送られる可能性が高いのでは」(都議)

 小池都政初の「きれいな着地」をここで決めてほしいものである。(本誌・上田耕司、小泉耕平、村上新太郎)

週刊朝日  2017年1月27日号