オフィスでホール&オーツからプレゼントされたギターを弾く高橋氏(撮影/写真部・堀内慶太郎)
オフィスでホール&オーツからプレゼントされたギターを弾く高橋氏(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 来年設立50周年を迎えるウドー音楽事務所。ボブ・ディラン、デヴィッド・ボウイ、ミック・ジャガー、リンゴ・スターなど多くのスーパースターを招聘してきた。来日中のスターの管理をするのはツアー・マネジャーの仕事。40年以上、ツアマネを務めた高橋“TACK”辰雄代表がその素顔を語った。

 2016年末、話題をさらったのは、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランだ。

 その実像はミステリアスだが、1978年の初来日公演以来、ディランをずっと担当しているのは、高橋氏だ。

「78年の初来日のときは京都観光に行って、金閣寺でみんなで写真を撮ったりしましたけど、取り巻きが多くて、僕の名前は覚えてもらえなかったですね。直接口をきく機会はなかったです。でも、何回目かに来日したとき、『ハイ! タック』と名前で呼んでくれたのは嬉しかったですね。『覚えてくれていたんだ』って思いました(笑)」

 近年は頻繁に来日公演を行い、1都市で複数回公演を行うことが多いディランだが、彼が日本でどういった過ごし方をしているのか気になるところだ。

「10年のツアーの大阪滞在中に自転車をレンタルして、昼間だと目立つので、夜にボディーガードと2人で街をめぐってましたね。それで、東京でまた何日も自転車をレンタルするなら買ったほうが安いということで、大阪でレンタルしたその自転車をそのまま安く買って、トラックで東京に運びました。それをホテルに置かせてもらって、夜になるとボディーガードと2人で出ていっていました。普通のママチャリなので、誰もボブ・ディランだとは気づかなかったでしょうね。あと、散歩もしますよ。16年のツアーでは代々木公園を散歩しましたし、その前の14年にはオフの昼間に日本武道館のある北の丸公園を散歩してました。東京のお台場のZepp公演のときは、会場に着く前に途中で車を降りて、30分くらい歩いて、また車に乗って会場に入ったこともありました」

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