増:「LGBTへの対応をやりたいけど、何から始めていいかわからない」という企業からの依頼が多いです。「LGBTが安心して働くためにはどんなことが必要か」をお話しし、具体的な策につなげていきます。

東:でも講演やオンラインサロンの声を聞くと、特に地方のLGBTの方は「誰にもカミングアウトできない」って言うんです。本当に苦しい状況を聞くので、心が痛みます。

増:「自分の周りにLGBTなんていない」と、話を聞こうとしない人もいる。でもその人の周りにも確実にいるはずなんです。日本の4大名字、佐藤、鈴木、高橋、田中を合わせた数よりも割合は多いんですから。

東:その人の無理解が、周りの誰かを傷つけてるんじゃないか。そう思うと悔しくて。この一人が変われば、もっといろんなことが変わるのになあって。

増:でもそういう人に会うと、「まだまだやるべきことはある!」と、闘志がわきますね。

東:それにLGBTの問題だけではないんです。講演に行くと、「自分は子どもが産めないけど、小雪さんの話を聞いて『それでもいいんだ』と思えた」とか、「女性の生き方にはいろんな選択肢があるとわかった」と言っていただくことも多いんです。どれだけこの世の中が生きにくく、この人はどれだけ傷ついていたんだろう、って思います。

増:日本は特に規範や同調圧力が強いですからね。男性だって「男らしさ」を求められて苦しんでいる。

東:「こうあらねばならない」「これが普通」とかね。

増:その殻を破れたときの解放感、肩の力が抜ける感じを多くの人に知ってほしいんです。一人ひとりは違って当たり前。みんながその人らしさを生かして交じり合う。そんな社会がいい。

東:「自分らしく生きる」っていうことは本当にプライスレスですから。

――今年は妊活も経験した二人。“ふうふ”の形は、さらに進化するかもしれない。

増;いま妊活はちょっとお休み中なんです。でも子どもは欲しいと思っていて。

東:周りに女性同士で精子提供でできた赤ちゃんを育てているカップルもいます。

増:プライベートでも仕事でも一緒になって、逆にケンカもしなくなったね。

東:ひろこさんも大人になったからね。

増:私はもともと大人なの。

東:うそだあ!(笑)

週刊朝日 2016年12月23日号より抜粋