春風亭一之輔が語る 衝撃の「大人買い」現場とは… (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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春風亭一之輔が語る 衝撃の「大人買い」現場とは…

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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衝撃の「大人買い」現場とは…(※イメージ)

衝撃の「大人買い」現場とは…(※イメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「大人買い」。

*  *  *
 小学生の頃の友人・Sくんは裕福な家の一人っ子だったので、子供が欲しがるたいていのオモチャはいち早く手に入れていた。

 初期のファミコン、スーパーマリオなどの人気ソフト、超デカのキン肉マン消しゴム、ミニ四駆はもちろん、そのレーシングコース……雑誌もコロコロ、ボンボン、ジャンプ……。バックナンバーから最新号までズラリと並ぶ書棚は圧巻だった。

 Sくんはとにかくお婆ちゃん子で、お婆ちゃんもSくんを猫っ可愛がりしていた。月曜の早朝にはお婆ちゃんが近所でジャンプを買ってくる。Sくんが読み終えたそれを、遊びに来た我々庶民が読ませていただく。

 羨ましいけど、ひがみはしない。Sくんの家に行けば、ジュースにケーキにゲームにマンガ、我が家にない物が全て出てくるのだから。Sくんの部屋は近所の子供たちのサロンだった。

 そんな家の子はスネ夫みたいなヤツに育つはずだが、Sくんはまるでイヤミのない性格で我々にとっては最高の「お旦」。

 ある日、いつものようにSくんの家に行くと、珍しくSくんはプリプリと怒っている。矛先はお婆ちゃん。お婆ちゃんは、

「ごめんねぇ、Sぅ。もう買ってこないから。許してねぇ」

 と今にも泣きだしそうだった。

「いったいお婆ちゃんは何を買ってきたの?」

 と聞くと、Sくんが指で示した先にはビックリマンチョコがギッシリ詰まった、手をつけてない箱が二つ。「ビックリマンの箱買い」だ。

 噂には聞いていたが、本当にいるんだ……。夢である。当時の子供にとって夢の出来事といえば、「落合の年俸1億円」か「ビックリマンの箱買い」。

 それにしても、なぜSくんは怒っているのか? ビックリマンの箱だぜ。キラキラシールが必ず手に入る。

「だってつまんないよ!」

 Sくんは膨れた。


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