室井佑月「みんなそれを知らない」
連載「しがみつく女」
安倍政権が推し進める年金制度改革法案。その中身をどれくらいの国民が知っているのかと、作家・室井佑月氏は問いかける。
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国会中継をネットで見ていて、ふと思ったことがある。
安倍政権は突っ込みどころ満載で、野党の政治家たちは頑張っているのだが、そのことを知っている国民はどの程度いるのかと。
たぶん、ほとんど知らない。安倍政権側の答弁が、どれほどいい加減でグズグズなのかも。
11月25日、衆院厚生労働委員会で、年金制度改革法案が自公により、また強行採決された。このことを、どのくらいの国民が知っているんだろう。
てか、年金制度改革法案の中身を、どれだけの人が知っているんだろう。
この法案は26日付の中日新聞によると、
〈法案は、年金支給額を物価や現役世代の賃金に合わせて変動させる「賃金・物価スライド」の新ルールを盛り込んでいる。物価の下げ幅より賃金の下げ幅が大きい場合は、賃金に合わせて年金を減額。物価が上がっても賃金が下がった場合は賃金に合わせ減額し、ともに減額する内容だ〉
という。
ん? つまり、物価や賃金がどうなろうと、どっちみち年金支給額は下がるんじゃない。
ほとんどの国民が、自分らが預けている年金が、株に突っ込まれ、すでに10兆円ほど溶けてしまったなんてことを知らない。
安倍さんがやりたがっていたTPPに参加することになれば、この国の農業や医療、保険がどうなってゆくのか、国民は知らない。
事故を起こし5年経った福島第一原発が、今どうなっているのか、それもよくはわからない。

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