高校球界屈指のスラッガー・清宮幸太郎 (c)朝日新聞社
高校球界屈指のスラッガー・清宮幸太郎 (c)朝日新聞社

“怪物”が甲子園に戻ってくる。高校野球の秋季東京都大会で、清宮幸太郎主将が率いる早稲田実が優勝を飾り、来春の選抜高校野球大会への出場が確実となった。昨年夏の「清宮フィーバー」が再び巻き起こる予感がするが、死角はないのか──。

 11月3日に神宮球場であった秋季都大会の決勝には、早稲田実と日大三の全国制覇経験校同士が激突する好カードとあって、開門前から入場券を求める列ができ、秋季大会では異例の約2万人が観戦した。

 今夏の西東京大会準々決勝で敗退後、新チームの主将に就いた清宮は、高校通算本塁打を74本まで増やしてきた。ファーストストライクを積極的に捉える姿勢に磨きがかかり、ロングティー打撃に力を入れるなど試行錯誤を重ねることで、打球の飛距離が増した。

 その清宮は、秋季都大会で3試合連続本塁打を放つなど、大会序盤こそ好調だった。だが、「最大の山場」と高校野球関係者が口をそろえた準々決勝の関東一戦では、相手投手による、外の球を見せてからの内角攻めに苦しみ、高校入学後の公式戦32戦目にして初めてノーヒットに終わった。決勝の日大三戦では不振を極め、相手左腕の落ちる軌道を描くスライダー攻めにフルスイングをさせてもらえず、5打席連続で三振に倒れ、劇的なサヨナラ勝ちで締めくくった一戦でチームに貢献できず。

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