高市早苗総務相 (c)朝日新聞社
高市早苗総務相 (c)朝日新聞社

 富山県議会と富山市議会の「辞職ドミノ」で問題となった「白紙領収書」をめぐって政治が揺れている。国政では菅義偉官房長官、稲田朋美防衛相が、ほかの国会議員の政治資金パーティーに出席したときに白紙の領収書を受け取り、自らの事務所で金額を記入していたことを認めた。

 政治資金規正法を所管する高市早苗総務相が、

「発行側の(領収書)作成方法には規定がない。国会議員は双方の事務所で入出金額が記録されており、事実と異なる記入というのはまず発生しない」

 と白紙の領収書を認める発言をしたため、「常識外れ」と批判が集まった。

 自民党のある国会議員の事務所に行くと、

「白紙の領収書ですか? そんなもの、山盛りありますよ」

 と何枚も見せてくれた。政治資金パーティーを開いたとき会費を払った国会議員に金額を書かずに渡すという。パーティーの会費は、たいてい2万円だ。ならば会場で2万円の領収書を手渡せばいいのだが、そうはいかない「事情」があるという。取材した事務所の関係者は、こう話す。

「規定の2万円を払う先生もいれば、5万円とか10万円を出す幹部クラスもいる。それを聞いて会場で領収書を渡せば『俺のパーティーでは2万円だったのに、あいつのときは10万円かよ』ともめるのは必至。昔は、知り合いの議員のパーティー券をたくさん買って、他に売ってキックバックをとる先生もいた。いつしか、白紙で渡すのが慣例化した」

 そんな事情もあって、永田町では、白紙の領収書が当たり前のように飛び交う。自民党のある幹部は、

「ずっとやっているもので、急に野党から目くじら立てられてもね。今の時代、白紙の領収書で、そんな悪いことはできない」

 と話した。高市総務相が「問題なし」としたのは、こんな背景があるようだ。

 だが、富山県の例を見ると、そんな悠長なことは言っていられない。今年8月、最初に富山市議会で発覚した、政務活動費の架空請求による受領。10月20日現在、富山市議会では12人、富山県議会では3人が辞職に追い込まれた。

次のページ