「答弁が曖昧で、他人事になっているところがもの足りない。私たちが証拠を出しても『調べます』『PTで相談する』ばかり。『そう思う』とか『違う』とか、もう少し自分の判断を示していただきたかった」

 小池氏の態度はあくまで初戦の「様子見」なのか、それとも一時は敵対した自民党との「妥協」の兆しなのか。気になるのは冒頭に挙げた二階氏の動きだ。

 新進党、自由党、保守党などを経て自民党に合流するという共通の経歴を持つ同士。永田町に味方が少ないと言われる小池氏が唯一、頼れる実力者だ。その二階氏は幹事長に就任すると早々に小池氏と党本部で会談し、都連に対し、「撃ち方やめ」と号令。小池氏に味方したことで除名処分とされていた若狭氏を小池氏の後継候補とする「剛腕」を振るった。若狭氏は本誌に語る。

「選挙に全身全霊を傾けています。小池新党に参加する予定はなく、自民党の中からいろいろ提案するほうが効果があると思う」

「小池新党」が結成され、来夏の都議選で自民党都議団から議席奪取を狙うというシナリオはしきりに報じられている。10月30日に開講する、小池氏をトップとする政治塾「希望の塾」の塾生募集も始まったが、政治評論家の浅川博忠氏は、その現実味に疑問を呈する。

「政党をつくるにはカネがかかります。党本部の事務所を借りて職員も雇い、議員たちの選挙費用も党首がある程度負担するのが常識で、少なくとも数億円は必要。小池氏にそれほどの資金力があるとは思えず、永田町では新党話は『ハッタリ』と見る人が多い。自民党が分裂してできた維新の会の支えがあった橋下徹氏と違い、手足となる議員がいない小池氏の立場は非常に不安定です」

 小池氏と親交がある自民党議員の見立てはこうだ。

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