日本ハムの大谷翔平(左)と広島の黒田博樹 (c)朝日新聞社
日本ハムの大谷翔平(左)と広島の黒田博樹 (c)朝日新聞社

 日本ハムが最大11.5ゲーム差からの大逆転優勝を飾ったパ・リーグ。セ・リーグも巨人がDeNAとの2位争いを制し、10月8日から始まるクライマックスシリーズ(CS)の組み合わせが確定した。ノンフィクションライター・渡辺勘郎が下位チームの下克上の予感もあるCSの見どころを聞いた。

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 現役時代は巨人のV9捕手として、指導者としても黄金時代の西武の監督として数多くの日本シリーズを経験し、短期決戦の戦い方を知り尽くす森祇晶氏(79)はこう解説する。

「1点を取るのも、1点を守るのも大変なのが短期決戦。1点の重さを感じる戦いです。バッティングは水物ですからポイントは投手起用。特に2勝すれば勝ち上がれるCSのファーストステージ(以下1st・st)では、いい投手が2人いれば有利なのは間違いありません」

 短期決戦の投手起用で監督に求められるのは“見極め”だという。

「相手チームの調子より、自チームの個々の選手を把握し、調子のいい選手を出し惜しみせずに起用できるか否か……。相手が押せ押せになって受け身になったら、監督に継投の決断が求められます」(森氏)

 監督が最も非難されないのは、エースを起用して代えないことだそうだが、

「いいピッチングをしていても、相手打線とタイミングが合ってきたらスパッと代えられるか、なんですよ。負けたら終わりの短期決戦で、監督がそういう勝負ができるか。CSではそのあたりに注目してください」(同)

 もっとも、森氏はCSに反対だという。

メジャーリーグのポストシーズンはよく考えられた合理的な制度ですが、3位の、5割そこそこの勝率のチームが勝ち抜いて日本シリーズに進出する可能性があるCSは、ペナントレースの価値をあまりにも軽んじています。ルールの中で戦わないといけないから、こんなことを言っても仕方ないのですが、現場の選手のことを思うと言わずにはいられないんですよ」

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