「働く人の自律化・新しい労働組合」報告書に対する労働界からの批判に答える (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「働く人の自律化・新しい労働組合」報告書に対する労働界からの批判に答える

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労働団体からが「報告書」に反発する声も (c)朝日新聞社

労働団体からが「報告書」に反発する声も (c)朝日新聞社

 ロボットや人工知能によって「仕事が奪われる」と将来を悲観する向きも少なくない。だが、現実には、それまでとはまったく違った「人のやる仕事」が増えていくのだろう。システムエンジニアといったICT(情報通信技術)を支える仕事は、今や膨大な雇用を生んでいるが、20年前の1996年といえば、「ウィンドウズ95」が爆発的にヒットしてわずか1年。オフィスでようやくひとりに1台のパソコンが支給されるようになったころだ。それが今やインターネットや携帯電話が当たり前の時代になって、「いつでもどこでも」仕事ができる環境になった。オンとオフの境目があいまいになり、「労働時間」の把握が難しくなった。こうした流れは今後の人工知能の発達やICTの進化によってますます進むに違いない。自動車の自動運転が実現すれば、仕事をしながら移動するのが当たり前、という時代が来るかもしれない。前述のように副業や複業が当たり前の時代がやってくることになるだろう。

 これに伴って「会社」の形も大きく変わる。懇談会の報告書では、会社自体が「プロジェクトの塊(かたまり)」のような存在になると書いた。

 これまでは「カイシャ」が一種の疑似家族、疑似コミュニティーとして、社員の生活を丸ごと支え、時には家族の面倒もみてきた。それが可能だったのは、いったん会社に入ったならば、定年まで一生その会社に所属し、辞令一枚でどこへでも赴任し、会社が忙しい時には深夜残業もいとわずにとことん働く「終身雇用・年功序列」型の雇用形態が可能だったからだ。

 だが、会社の形が「プロジェクトの塊」に変わり、その時その時でふさわしい専門家を集めるような形に職場がなった場合、幅広い分野の仕事をそこそこのレベルでこなす「ジェネラリスト」を終身で雇い続けることは難しくなるだろう。

 報告書のキーワードは「自律的な働き方」である。

《2035年には、個人が、より多様な働き方ができ、企業や経営者などとの対等な契約によって、自律的に活動できる社会に大きく変わっていることだろう。企業組織自体も変容していき、企業の内と外との境界線が低くなり、独立して活動する個人も増えるという大きな構造変化が生じる》

 報告書では、そうした変化を前提としたうえで、労働法制のあるべき姿を組み換え、働く人と企業が対等な契約を結ぶことができるような情報取得ができる仕組みを作るべきだとした。さらに、自律的な働き方になった場合、不安定さが増すことにもなるため、そのセーフティーネットとして解雇補償や保険的な機能を提供するべきだとした。さらに能力開発や教育訓練の機会がますます重要になると指摘した。


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