金融知識トップの奈良を代表するゆるキャラも、当然金融には造詣が深い? (c)朝日新聞社
金融知識トップの奈良を代表するゆるキャラも、当然金融には造詣が深い? (c)朝日新聞社
金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」から。1世帯あたりの貯蓄額は総務省「平成26年全国消費実態調査(二人以上の世帯)」の数字で、株式、債券、投資信託なども含む
金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」から。1世帯あたりの貯蓄額は総務省「平成26年全国消費実態調査(二人以上の世帯)」の数字で、株式、債券、投資信託なども含む

 金融知識の高さや低さ、投資意欲の強さや弱さなど、お金にまつわる地域性を浮かび上がらせた「金融リテラシー調査」が大きな注目を浴びている。今回の調査は、18~79歳の2万5千人を対象に「金融広報中央委員会」(日銀が事務局で、政府や自治体で組織)がまとめたもの。日本人のお金に関する知識や判断力を、初めて公的・大規模に調べた資料だ。

【「金融トラブル」「貯蓄額」などの県別ランキング一覧表】

 西日本の特徴を分析すると、東日本以上にお金の県民性が色濃く表れた。

 金融知識の上位5位は奈良、香川、京都、岡山、鹿児島。西日本勢が占めた。

「奈良や香川は、これまでのほかの調査でも貯蓄額が高い県として知られます。金融知識と貯蓄額は相関があるのでしょう。香川と岡山は瀬戸内海を挟んだ隣県で、かつて日照りに苦しんだ地域。その危機意識が、ため池や貯蓄の多さにつながっています」(『出身県でわかる人の性格』の著者で、出版プロデューサーの岩中祥史氏[65])

『ビジネスの9割は「県民性」でうまくいく』の著者で、経営コンサルタントの矢野新一氏(67)も「香川は水不足で苦しんだ地域で、水もお金もためて備える風土」と同じ見方だ。さらに、「奈良は女性が買い物上手と言われます。お金にシビアな大阪との行き来が多く、金銭感覚がしっかりとしています。岡山もかつて上方商人との交流が深かった地域です。お金に細かく、財布のひもが固い」という。

 岡山は老後の資金計画を持つ人の比率が全国で最も高かった。

 徳島の調査結果も特徴的だ。金融知識が上位で、損失回避傾向も、横並び行動バイアスもともに強い。

「大阪とつながりが深く、男女ともにお金にシビア。目玉商品しか買わない気質と言われます」(矢野氏)

「徳島は藍染めが盛んで、かつてはぬれ手であわの大もうけをした地。しかし、蜂須賀家という殿様を尾張(愛知)から迎え、江戸時代に倹約の気風が定着しました。名古屋の血も強烈に流れています」(岩中氏)

 徳島は期日通りに支払う意識の比率が全国で最も高かった。

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