最新ニキビ治療法とは(※イメージ)
最新ニキビ治療法とは(※イメージ)

 昨年から今年にかけてニキビ治療の外用薬が次々に登場し、症状の段階に応じた薬の使い分けが可能になった。多くの人が自己ケアで済ませている初期ニキビに有効な薬もあり、治療は、急速に変わりつつある。

「日本のニキビ治療は、欧米に比べて10年ほど遅れていました。しかし2008年、『アダパレン(商品名ディフェリンゲル)』に健康保険が適用されました。さらに昨年から今年に複数の外用薬が登場し、今秋にはもう一剤、発売が予定されています。これでやっと、日本でも世界標準の治療ができるようになります」

 と、滋賀県立成人病センター病院長の宮地良樹医師は言う。

 ニキビ(尋常性ざ瘡)は日本人の9割以上が経験する、ありふれた皮膚の病気だ。“青春のシンボル”といわれるように、中高校生に多い。発症に性ホルモンが関係するからだ。

 ニキビは毛穴にあぶらがたまることから始まる。あぶらは皮脂腺が作りだし、本来は毛穴を通って皮膚の表面に達し、毛の出口から皮膚に広がる。

 思春期に性ホルモンの分泌が一気に増えると、皮脂腺は急にあぶらをたくさん作るようになる。毛の出口が皮脂などで狭くなっていると、あぶらが毛穴にたまる。体質的に毛の出口が狭くなりやすい人もいる。

 毛の出口が硬くなる角化異常を起こしたり詰まったりすると、毛穴の中にあぶらがたまって毛の出口が少し盛り上がる。この状態を「面皰(めんぽう=コメド)」という。いわゆる白ニキビで、汚れがつくと黒ニキビになる。

「ニキビはニキビ菌による感染症と思っている人が多いのですが、面皰まではニキビ菌は関与していません。ニキビ菌は誰の皮膚にもいる常在菌で、あぶらが大好物。面皰ができると毛穴の中で増殖し、炎症を起こす物質を産生します。その結果、毛の出口が赤く盛り上がるのです」(宮地医師)

 これが「赤ニキビ」で、医学的には「紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)」という。炎症がさらに進むと、毛穴に膿がたまった「膿疱(のうほう)」になる。紅色丘疹と膿疱は炎症性の皮疹だが、面皰は非炎症性だ。この違いは、薬を選択するときの重要なポイントになる。

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