ケガを乗り越え、見事に銅メダル!(※イメージ)
ケガを乗り越え、見事に銅メダル!(※イメージ)

「直前になっても腰痛がひどいと聞き、正直、今回はダメだろうな、と思ってました。それが、ああいう結果で……良かったね、と思っている記者が多いと思います。あの親子には、辛口の報道陣にもそう思わせる人徳があるんですよ」

 スポーツ紙デスクがこう語るのは7日に行われた重量挙げ女子48キロ級で見事に銅メダルを獲得した三宅宏実(30)のことだ。

 古傷の腰痛が現地入りしてから悪化し、試合数日前、父であり監督の義行氏(70)が痛み止めの注射を打つ決断をしたと各メディアが一斉に報じた。

 さらに試合当日、スナッチの1、2回目で81キロを失敗。3回目もダメなら“記録なし”で終わる状況に追い込まれたが、何とか3位に食い込んだのだ。

「不安感いっぱいの事前報道を見て……いいことも悪いこともシッカリと答えてくれる正直なあの親子らしい……と思いました。以前、お父さんに電話したら『ごめん。今、新幹線の中なんだ』と言われ、新幹線を降りた後で向こうから掛け直してくれたんです。日本代表の監督さんですから、恐縮しました。宏実さんも五輪代表選手として練習中なのに監督の取材をしている記者に椅子を持っていくような気遣いのできる人でね。ああいう親子だからこそ五輪という大舞台で神様がほほ笑んでくれたんじゃないかと思います」。(本誌・小泉耕平、鳴澤 大/栗原正夫、渡辺勘郎)

週刊朝日  2016年8月26日号