「監視社会」は日本でも… (c)朝日新聞社
「監視社会」は日本でも… (c)朝日新聞社

 伊勢志摩サミット期間中は、異様な数の警察官におののき、公衆トイレの入り口で天井を仰げば、じっと見下ろす防犯カメラ。安全のためとは思いつつ、不気味さはぬぐえない。私たちはどこまで見張られるのか?

 5月24日、衆院本会議で取り調べの録音・録画(可視化)を柱とする刑事司法改革の関連法が成立した。組織的な詐欺や窃盗などの事件捜査でも通信傍受できるよう対象犯罪を拡大するほか、第三者の立ち会いなしに警察の施設内で傍受できるようになった。

「20年のオリンピックを前にテロリスト対策の強化は必須。安全を担保にプライバシーを犠牲にするのか、プライバシーを優先し、テロや事件の起こる可能性を受容するのかが、いま問われている」(慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所上席研究員の土屋大洋教授)

 だが、単純に日本版NSA(国家安全保障局)を作ればいいというものでもない。

「元CIA(米中央情報局)職員のエドワード・スノーデンが告発したような事態を防ぐために、NSAを監視する組織を作り、違反した場合の処罰も考えなければなりません」(同)

 NTTドコモが5月に発売したスマートフォン5機種(OSはアンドロイド)からは、本人への通知なしで捜査機関がGPS(全地球測位システム)の位置情報を取得できるようになった。監視社会の進行を象徴するニュースだった。

「15年に改定された総務省の個人情報保護ガイドラインに沿った対応です。もちろん捜査令状がある場合のみで、利用者のプライバシー保護に問題があるとは考えていません」(NTTドコモ広報担当者)

 ジャーナリストの外岡秀俊さんは話す。

「『やましいことがなければ見られてもいい』という20世紀型の監視と21世紀型の監視は大きく変化しています」

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