「ヨーロッパ先進9カ国の300病院の調査によると、大卒以上の看護師の割合が高いほど、外科病棟や救急病棟に入院した患者の入院後30日以内の死亡率が低くなっているのです。米国でも同様の研究結果が出ています」

 高学歴看護師の増加が、医療の質の向上につながっているということだ。

 看護系学部の人気は、こうした社会的ニーズの高まりに加え、就職市場での盤石の強さにも支えられている。星槎大学大学院教育学研究科の児玉有子准教授はこう話す。

「看護師は国家資格だから、全国どこでも求人があります。一定期間働いていると、出産や育児で一時的に休んでもまた復職しやすいのも人気の秘密です。特に看護師が不足している東京都では、夜勤手当があると、1年目から年収500万円を超える看護師もいます」

 これは一般的な会社員の年収(415万円、2014年国税庁調べ)よりもはるかに高い。さらに専門看護師や認定看護師などの資格を取得してキャリアアップすると、収入もアップ。副院長クラスの看護師になると、年収1千万円を超えるケースもあるという。

週刊朝日  2016年5月20日号より抜粋