「大学のリアルな姿に触れることで、それまで考えていた第1志望校が変わることも珍しくありません」(村上教諭)

 こうした自主自立を促す方針と具体的なキャリア教育が、躍進のカギのようだ。

 近畿圏でも理数系を志す生徒が増えている女子校は実合格実績でも躍進が目立つ。甲南女子は、スタンダードコースとSアドバンストコースを設定して国公立大も視野に入れた受験指導が特徴。近年は医・看・薬に加えて工学部や建築学部志望が増加傾向にあるという。進路指導部長の宮内学教諭は「中高6年間のロングスパンで将来について考え、職業研究、特に実習を経験させていることが大きいと思います」と話す。

 キャリア教育で大きな役割を果たすのが中学校の終わりごろ全員が経験する保育実習だ。将来の母親像をイメージする生徒もいれば、教育や保育の大切さを考える生徒もいる。仕事と育児の両立の現場を見ることで、仕事に対してより具体的に意識が向き、自分の適性や将来を深く考えるきっかけになる生徒も多いという。

 実合格者の多い学校に共通するのは「個別のカリキュラム構成や進路指導」「英語教育・グローバル教育への注力」「徹底したキャリア教育」だ。高校を大学へのステップとするのではなく、社会に巣立つ日に備える教育の場だという視点が、結果として大学進学の高実績に結びついているといえそうだ。

週刊朝日 2016年5月6-13日号より抜粋