山尾:原発というのは、ある意味、国の哲学の問題でもあると私は思っていて、それを判断する役割を司法にゆだねている状況に限界を感じるんです。国の課題を、司法に判断の重責を背負わせているというか……。

田原:本当は国が判断をしないといけない問題です。もっと言うと、今の自民党は、原発に対する責任体制がとれていないんです。自民党や政府の幹部に「誰が原発の責任者なんだ」と聞くと、もんじゅの問題は文部科学省、軽水炉は経済産業省と。いったい、じゃあ、すでに1万7千トンある使用済み核燃料はどうするんだ、どこが判断するんだと聞くと、答えられない。そこの無責任体制をなんで民進党はもっと突かないんだろう。

山尾:正直申し上げると、私たち本当に政権時代に3.11で福島を体験して、原発30年代ゼロっていうのをやっとこさ決めたのです。

田原:民主党は原発問題はこれまで党内で意見が割れてきましたが、どうですか。野田政権末期の12年9月、30年代末までに原発の稼働をやめるという閣議決定をすると宣言したのに、結局はできなかった。

山尾:その質問に直接答えているかわかりませんが、あのとき見ていて無残だったのは、原発ゼロの時期をいつにするか、再稼働を一切認めないかどうかなど、考え方の違いで党内がバラバラになってしまったこと。一方、自民党はとにかく沈黙することで一枚岩にまとまっていた。そして、選挙は沈黙の一枚岩が勝った。

田原:山尾さんは政調会長として次の参院選挙で、党内をまとめられますか。

山尾:それが自分の職責です。私たちは惨敗したあの経験が骨身にしみていますから、まとまると思っています。30年代に原発をゼロにするというのは私たちの党是で、これは決まったライン。ぶれさせないことがすごく大事です。

週刊朝日  2016年5月6-13日号より抜粋