高橋:それもぜんぜんです(笑)。たまにネットニュースで「高橋みなみ、政界進出か」とか書いてあって、びっくりします。AKBは田原総一朗さんにすごくお世話になっているんですが、田原さんが「向いてる」と言ってくださって……。

林:田原さんが言うんだから、間違いありませんよ。私、高橋さんの『リーダー論』という本読ませていただいて、感心しちゃった。今どきの24歳でこんなに自分の言葉と自分の考えを持っている人、いないですよ。さすが秋元(康)さんが見込んだ方だと思いました。秋元さんは、「AKB48とは、高橋みなみのことである」と言ったんでしょう?

高橋:昔、フォトブックを出したときに、帯にそう書いていただいたんです。そのときは総監督でもなかったので、どうしてこんなに素晴らしいことを言ってくださるんだろうと思ってました。

林:「AKBの総監督に」というのは、突然言われたんですか。

高橋:突然でした。その前の2009年からチームAのキャプテンをやっていて、12年に総監督に任命されました。

林:本には「総監督とは、ほぐして、つなぐ人」と書いてありますね。「相手の名前を呼んで距離感を縮める」「キレることと叱ることは違う」とか、お若いのにどうしてこんなに人の気持ちがわかるんだろうって、びっくりしちゃいましたよ。特に「母ではなく父の視点に立つ」って、すごくない? 私は女性のリーダーは母性的である必要があると思っていたんですが、父性的でなければならないんですね。

高橋:母親と娘って距離が近くなりすぎると思うんです。情が入ると特定の子に有利なことをしてしまいがちで、「その子ばっかりかわいがらないでください」となってしまうんですね。だから私は父の目線で、サバサバと一歩引いて接していこうと思ったんです。

週刊朝日 2016年4月15日号より抜粋