北海道新幹線 (c)朝日新聞社
北海道新幹線 (c)朝日新聞社
急行はまなす(撮影/櫻井寛)
急行はまなす(撮影/櫻井寛)
鉄道写真家の櫻井寛さん。はまなすの2段式のB寝台で(撮影/櫻井寛)
鉄道写真家の櫻井寛さん。はまなすの2段式のB寝台で(撮影/櫻井寛)

 3月26日の北海道新幹線開業に伴い、JR最後の夜行急行・はまなすが運転を終了する。この二つの列車を同時に楽しめる唯一無二の旅を、“乗って撮る”鉄道写真の第一人者・櫻井寛が案内!

 北海道初の新幹線と、JR最後の急行列車──鉄道好きならずとも心をくすぐられる響きだ。

 青森発の最終便(21日)のはまなすは全席指定のため、狙い目は20日発の自由席。ただし数時間前からの行列も予想される。翌21日、函館または札幌で下車したら、北海道フリーパスや青春18きっぷを使って、道内の鉄道を堪能する。新幹線開業の26日は早めに新函館北斗に移動。はやぶさ、はやてともに全車指定席なので、未購入の場合は立席特急券で乗車して本州へ戻ろう。

 ぜいたくな旅だが、最初で最後の貴重な機会を逃す手はない。

 1988年、青函連絡船の深夜便の代替として運行を開始した急行はまなすは、3月20日札幌発、翌21日青森発の運転で、28年の幕を閉じる。青函連絡船から受け継いだバトンを今度は北海道新幹線に渡すことになる。

「はまなすが運転終了することで、カーテン式のB寝台車、国鉄時代のブルートレイン車両など、あらゆるものが日本の鉄道から消えてしまう。特に急行列車という存在がなくなることは残念です」と、感慨深げに話すのは、鉄道写真家の櫻井寛さん。

 若い頃、周遊券を使って乗れる急行で全国を旅したという櫻井さんは、急行列車に育てられたと語る。狭いB寝台で、寝る前にカーテンを開けて隣の人と話をするのは旅の楽しみのひとつで、そのために寝不足になったり、座席で夜明かししたりする苦しさもまた、急行はまなすを含む夜行列車の魅力だった。

「はまなすの運転終了は、昭和の列車の終わりを意味しますね」

週刊朝日 2016年3月25日号