「シドニーの選考はマラソンも揺れた。大阪で五輪行きをかけた弘山晴美さんが2時間22分56秒(当時の日本歴代3位)を出しながらゴール前でルーマニアの選手に抜かされ、結局落選。弘山選手より遅いタイムながら、前年の世界選手権で銀メダルに輝いた市橋(有里)選手が内定して、後に議論になりました」

 世界選手権でも昨年、陸連で決めた「タイムや積極的な走りを重視」という意向が現場に行き届いておらず、監督陣から批判が出た。

「“俺たちに任せとけ”という旧態依然とした風潮が陸連にあるんですよ。既存の国内のレースでは優勝者を優先してほしい。その次の要素がタイム。とにかく主観なく選んでほしい」

 名古屋で増田さんが注目するのは木崎良子選手や田中智美選手。若手は岩出玲亜選手。「帝京大学ラグビー部の監督のめいで、強い目をしている」

 五輪選考は3月17日。注目したい。(本誌・西岡千史、鳴澤 大、牧野めぐみ、松岡かすみ、藤村かおり/岸本貞司)

週刊朝日  2016年3月18日号