米PGAツアーの来季シード権獲得を目指す岩田寛(ひろし、35)。その功績に丸山茂樹は2016年のスタートダッシュとしては素晴らしいと称賛する。

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 惜しかったですねぇー。ヒロシです。

 岩田寛(35)が米PGAツアーの「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」(2月11~14日、米カリフォルニア州ペブルビーチのペブルビーチ・リンクス)で優勝争いの末、4位でした。

 ヒロシにとって久々の最終日最終組。しかも45歳の大御所フィル・ミケルソン(米)と回った中でのゴルフとしては、堂々とできてたんじゃないですか。

 11番のバーディーでトップに立つと、向かい風の中でしぶとくパーを拾い続けました。16番のボギーも痛かったですけど、僕がここで指摘したいのは、18番パー5の3打目です。

 単独トップでホールアウトしていたボーン・テイラー(39)=米=に追いつくには、イーグルしかない。グリーン左手前からの3打目はピンまで35ヤード。ヒロシは勝負をかけてチップインを狙った結果、グリーンにも乗らずに、ボギーでした。

 あそこはライ(ボールのある場所の状態)が非常に悪かったので、無理に勝負をかけるところではなかったと思うんですよね。きょう(2月15日)、ヒロシと松山英樹が僕のロサンゼルスの自宅に来てくれてバーベキューをしたんですけど、ヒロシにその話をしたら、「あれは自分の大バカでした」と言ってました。

 
 ヒロシは結果的に優勝したテイラーに3打差の4位でした。あと1打でも詰めてれば、賞金は16万8千ドルも増えてたんです。そういう積み重ねがシード権獲得には大事になってきますから。まあ、これをいいステップにしてくれりゃいいんです。18位、4位ときてますからね。2016年のスタートダッシュとしては素晴らしいですよ。

 ヒロシと一緒に回ったフィルは1打差の2位でした。17番のバーディーでしっかり盛り上げてくるあたりはさすがですね。ただ彼も18番のアプローチ、パターがよくなかった。ここらへんは、年齢には勝てない部分なのかなあと思っちゃいますね。最終日の最後へきて体が硬くなり、勝ちたい気持ちがプレッシャーに負けたかなと。2年半も勝ってないですからね。

 最後のアプローチなんか、全盛期だったら「OK」の距離に寄せてプレーオフに持ち込んでるところです。あれも次のパットのことを考えすぎてショートしちゃったんでしょう。そういう「らしくない」部分もありましたけど、45歳にして立派なゴルフの立ち回りですよね。ほんとに素晴らしいと思います。あのタイガー(・ウッズ)でさえこんなに好不調の波が激しくなってきてるのに、最前線でバリバリ頑張ってますもんね。立派ですよ。

 米ツアーの次の試合は僕の家から車で20分のリビエラCCである「ノーザントラスト・オープン」(2月18~21日)です。優勝候補の1位に英樹が挙がってるんですって? そりゃすごいや。残念ながら締め切りの関係でここでは結果までお伝えできませんけど、全米屈指の難コースで、英樹もヒロシも力を発揮してほしいと思います。あのコースは気温が下がると急激に難しくなるので、そうなったときにどう対処するかが大事ですね。

週刊朝日 2016年3月4日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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