滲出性中耳炎の唯一の自覚症状は難聴だ。大人の場合は耳が詰まる感じもあるが、子どもは感じにくく、自ら難聴を訴えることも少ない。このため、見過ごされることもあるが、多くは3カ月以内に自然治癒する。しかし一部は長期化したり、再発したりすることもある。千葉県こども病院耳鼻咽喉科部長の仲野敦子医師はこう話す。

「長期間見過ごされたまま難聴の状態が続くと、幼稚園や保育園で友達とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、先生の話が聞き取れずに一人だけ行動が遅れたりする可能性があります。さらに長引くと言語発達に影響を及ぼすこともあるのです」

 小学生になると学習に問題が出てくるため、難聴の影響はより深刻だ。

 また、長引いて重症化すると、「癒着性中耳炎」「真珠腫性中耳炎」などを発症し、手術が必要になることもある。

 このため、発症から3カ月を過ぎていて両耳の聴力が40dB(デシベル)以上の場合、治療が検討される。デシベル(dB)とは音の大きさを表す単位で、基準値は0dB。数値が上がるほど難聴の程度が進み、40dBだと小声の会話が聞き取りにくい。

 また、聴力が39dB以下でも、鼓膜に癒着などがあれば治療が必要になる。

週刊朝日  2016年2月19日号より抜粋