「利益最優先」主義を象徴するような悪夢が立て続けに起きた…(※イメージ)
「利益最優先」主義を象徴するような悪夢が立て続けに起きた…(※イメージ)

 安価な深夜ツアーバスが死亡事故を起こし、捨てるはずのココイチカツが安売りされて消費者の口に入る。「利益最優先」主義を象徴するような悪夢が立て続けに起きた。獨協大学教授の森永卓郎氏は、その原因はライブドア事件にあったと推測する。

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 今、日本人のモラルがとてつもなく低下している。人間としてやってはいけないことの区別さえつかなくなっていると思います。日本人の価値観の最上位に「お金」が君臨している。「お金さえ稼げばそれで良い」「稼いだもの勝ち」という考えが蔓延しているのではないでしょうか。社会主義市場経済という「拝金主義」を貫く中国が典型的な例ですが、日本もほとんど大差がなくなってきているように感じます。

 今回起こったバス事故も、廃棄食品の横流し問題も、明確に定められたルールを無視した行動です。利益より安全性が優先されるべきというルール以前の共通認識すら機能しなかった。これはつまり、ルールを厳罰化したところで解決する類いの話ではないのです。

 いつからそんなふうになったかと考えると、私は2005年のライブドア事件がターニングポイントだったのではないかと思っています。あの事件によって「捕まりさえしなければ、何をやっても良い」という姿勢があらわになり、社会問題になるほど大きな波紋を呼びました。

 今回の事故を起こしたバス会社や廃棄物処理業者も、本心では「見つかっちゃったか。ヘマしちゃったな」程度にしか思っていないんじゃないかと思います。

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