消費増税に反対する市民たち (c)朝日新聞社
消費増税に反対する市民たち (c)朝日新聞社

 安倍首相が自画自賛する名目GDPは右肩上がりに推移し、15年には500.7兆円(7~9月期)に達した。

「GDPはその国の経済活動の大きさを測る指標として使われています。指標には『名目』と『実質』があり、物価変動の影響を取り除いた『実質』が増えなければ、本当の意味で経済活動が大きくなったとは言えません」(エコノミストの中原圭介氏)

 その実質GDPを安倍政権発足後から見てみると、13年度は前年度比10兆円増の529兆円。ところが14年度は5兆円マイナスの524兆円。15年度の成長率は微増を見込んでいる。

「マイナスの原因は個人消費が戻らないからです。GDPの6割を占める個人消費が冷え込んだままでは、景気がよくなるはずがありません」

 そう指摘するのは、経済評論家の斎藤満氏。

 総務省が発表した家計調査を見ると、家計がどれだけ苦しくなっているのかがよくわかる。

 昨年11月の1世帯(2人以上)当たりの消費支出は27万3268円で、前年同月比約3%減。3カ月連続のマイナスだった。3年前と比べても下がっている。

「消費税は上がり、年金は物価が上昇した分を抑えるマクロ経済スライドが発動されたため、受け取る年金額は実質減っています。さらに、生活保護費は3年間で740億円カット。こんなに締めつけが厳しいと、買い物しようという気分にはなりません」(斎藤氏)

 この数字は、東日本大震災以降、物を買いたくても品不足で買えなかった11年3月を下回っている。

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