「水爆実験」の成功を発表する朝鮮中央テレビ (c)朝日新聞社
「水爆実験」の成功を発表する朝鮮中央テレビ (c)朝日新聞社
実験に怒った中国は国境検問を強化 (c)朝日新聞社
実験に怒った中国は国境検問を強化 (c)朝日新聞社

 北朝鮮は4回目の核実験を1月6日、実施した。北朝鮮当局は「初めての水爆実験に成功」と主張しているが、爆発規模は推定6~7キロトン(TNT火薬換算)で、2013年の前回の核実験と同程度かそれより小さいものだった。

 もし水爆の実験であれば、少なくとも数百キロトン規模になるのが普通だから、間違いなく「水爆実験に成功」したのではないと言える。

 かといって、単なる見せかけの脅しのために核実験をやったわけではあるまい。防衛省関係者はこう推測する。

「水爆の前段階の爆弾であるブースト型核分裂爆弾(強化原爆)の実験にトライしたのではないか」

 ブースト型核分裂爆弾とは、原爆のエネルギーから小規模の核融合反応を生み出し、そこから生じる中性子の力で原爆を効率よく爆発させる核分裂爆弾だ。核融合を主エネルギーとする水爆とは違うものだが、核融合を利用することから水爆開発の前段階の爆弾とみることもできる。

「重水素の核融合を利用することから、これを拡大解釈して水素爆弾だと言い張っているのだろう。ただし、爆発規模が小さかったことから、原爆としては爆発したものの、ブーストのための核融合には失敗したのではないか」(同)

 もしそうだとすれば、北朝鮮は新規技術の実験には失敗したということになる。しかし、それでも安心はできない。北朝鮮はこれで核爆発に4回成功している。それぞれ技術の向上に努めていることは確実であり、こうした経験によって技術的にはそれなりに進歩しているとみるべきだからだ。

 北朝鮮は核爆弾の威力とともに、起爆装置の小型化もかなり進めていることは間違いない。もはや核ミサイルの実戦配備は秒読み段階と考えるべきだろう。

 しかも、16年中に北朝鮮はさらに核とミサイルの実験を重ねてくる公算が大きい。外務省関係者はこう指摘する。

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