「ゆっくり走るようにしていたので、止まったつもりになっていた。まさか停止していなかったとはねぇ」(Aさん)

 同じく70代のBさんは、交差点を左折したときの自分の運転データを見て恐ろしくなった。「同年代の友人から運転を頼まれるほど」の腕前だが、安全確認時の首振りの度合いは動きがほぼゼロ。前方を向いたままで見える狭い範囲しか確認していなかったのだ。

「直進してくるバイクや自転車に注意を払っているつもりだったが……。助手席に友達がいると顔をじろじろ見るわけにもいかないと思って、しっかり確認できていなかったかもしれない」(Bさん)

 このように運転に課題があっても、それに気づき意識すれば改善され、事故を防げるケースが多いと同教習所の瀬川誠教官は話す。

「運転の癖や弱点をきちんと認識し、そこを注意するようにすることで、高齢ドライバーでもぐっと安全に運転を続けていける可能性があるのです」

 このセンサーを使った計測は、いまは一部の教習所や自治体の安全運転教室で実施されているだけ。だが、開発したメーカーによれば問い合わせが相次いでおり、今後さらに普及する可能性が高い。

週刊朝日 2016年1月1-8日号より抜粋