センサーを使って客観的に運転技術をチェック。高齢者も、教官が言うより納得することが多いとか(撮影/編集部・平井啓子)
センサーを使って客観的に運転技術をチェック。高齢者も、教官が言うより納得することが多いとか(撮影/編集部・平井啓子)

 12月18日に「ヘルプマン!!高齢ドライバー編」(朝日新聞出版)の単行本第3巻が発売された。高齢ドライバーの事故は社会問題だが、車好きならば「いつまでも運転をし続けたい」というのが本音だろう。高齢者が安全に運転し続けるにはどうしたら良いのだろうか。

 年を重ねると、昔のようには手足が動かなくなり、運転技術にも変化が表れる。だが、それを自覚するのは至難の業だ。

 逆に言えば、その運転技術の衰えや弱点を目に見える形で示して自認させれば、安全運転につながるのではないか。そうした取り組みをしているのが京都府の山城自動車教習所だ。70~74歳のドライバーを対象に、センサーを使って運転を「計測」、グラフに表している。元々はタクシーやトラックなど事業系運転手の事故防止対策として導入していた講習を、2010年から高齢者にも拡大した。

 具体的な仕組みはこうだ。まず、ドライバーの頭、右足と車体にセンサーを取り付け、事故の起こりやすい交差点や見通しの悪い道路などを実際に運転してもらう。するとドライバーの体と車の動きがそれぞれ感知される。

 交差点前でのブレーキのタイミング、しっかり停止しているか、安全確認時に首が効果的に左右に振れているかなど、八つのチェックポイントを、100点満点で評価する。

 計測にチャレンジした70代のAさんは、結果を見てびっくりした。運転前は「高齢になって昔のようにスピードを出したむちゃな運転はやめた」と話していたが、グラフを見ると一時停止で減速しきれず、停止が不十分だった。

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