家族や友人が同乗することで、支えになることも。

「助手席から行き先の指示や信号が変わるタイミングを丁寧に伝え補助することで、運転者が落ち着き、危険な運転行為を未然に防いだり、急にパニックになることを抑えられたりする場合もあります」(高齢者安全運転支援研究会、中村拓司・事務局次長)

 さらに、テクノロジーの進歩によって、高齢者の運転を手助けする技術は広がっていきそうだ。自動運転機能だ。現在、メーカーなどが手動運転と自動運転の切り替え技術などの開発を進めている。そんななか、金沢大の菅沼直樹准教授は、センサーやカメラを駆使し、「認知症や体の不自由な人も使える完全自動運転自動車」の研究を進める。15年2月には、石川県珠洲(すず)市と共同で、一般道での走行実験を国内で初めて実施した。

「17年をめどにルートを制限したうえで、地域交通としての実用化をめざし、20年には一般の方も運転できるようになればと考えています」(菅沼准教授)

 安全に運転し続けるには──。まずは慢心せず、無理をせず、常に安全を意識しておくことが、近道かもしれない。

週刊朝日  2016年1月1-8日号より抜粋