拠点のシンガポールから操縦?またも嫌疑がかかった村上世彰氏 (c)朝日新聞社
拠点のシンガポールから操縦?またも嫌疑がかかった村上世彰氏 (c)朝日新聞社

「めちゃくちゃもうけました──」。あの言葉を思い出した人もいただろう。旧村上ファンドの村上世彰元代表(56)が、再び窮地に立たされている。

 ニッポン放送株取得を巡って2006年、証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された村上氏。証券取引等監視委員会は11月25日、金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで村上氏の関係先へ強制調査に入った。

 報道によると、昨夏に東証1部のアパレル大手株を、取引時間の終了直前に大量に空売り。買い戻して数千万円の利益を得た疑いがあるという。世間から「またか」との声も出そうだが、どうも変だ。ある証券関係者が首をかしげる。

「不思議だ。(終了直前の)午後2時50分から連日大量に売れば、当然疑われる。でも村上さんはプロですよ。何が違反かは知っている。今回は相場操縦を戒めるための生け贄(にえ)では」

 村上氏は監視委の任意の質問調査に応じているという。意図的な売り崩しの指示がメールなどで残っていれば、相場操縦が「確定」。村上氏の取引に明らかな問題点は見えるのだろうか。

「指示文書がなければ、意図的かどうかは、村上さんの頭の中の話。空売りは規制事項もあるが、報道で見る限り、普通にある取引です」と前出の証券関係者。別の市場関係者は「どこから相場操縦となるのか、明確な基準がない。当局の解釈次第ですから」と憤る。

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