監視委に直接問い合わせると、「個別案件はお答えできません。相場操縦を判断する(数字などの)定量的な基準はありません。法にのっとり、総合的に判断します」との回答がきた。

 今回の背景は一体何なのか。監視委OBが驚きの証言をしてくれた。

「実は取り締まれる相場操縦はごく一部。数が多すぎてさばき切れない。だからこそ『一罰百戒』なんです。早い話が見せしめです。ニートの投資家じゃ意味がない。目立つ有名人やエリートを『一罰』にするんです」

 OBによると、監視委は不自然な動きの取引を探し出し、〝狙い〟を定めると3年ほど執念深く監視する。「村上氏はいったん市場を退出したはずの人物。不自然な動きをすれば、監視を外す理由はない」(監視委OB)という。

 監視委単独の調査案件は「3割ぐらいはポシャる」らしいが、東京地検が今後、「合同」で捜査に乗り出せば、村上氏の立件の可能性が一気に高まるという。

 物言い監視委と、物言う株主の勝負はいかに。

週刊朝日 2015年12月11日号