妻:おかげでとても楽しいニューヨーク旅行になったんですけど、そのときお招きを受けた家に、青い目のシベリアンハスキーがいましてね。日本に帰ってからも、その目が忘れられなくて、ハスキーの子犬を飼うことにしたんです。

ところが1カ月もしないうちに、オオカミみたいに大きくなってしまった(笑)。一人暮らしでしたから、ロケなどで留守にするときも多いし、どうしよう、そうだ、関口さんの事務所に預かってもらおう。

夫:いやいや、大変でした。セーターをボロボロにされたスタッフもいて(笑)。

妻:彼は動物に対しても愛情深くて、大事にしてくれて。犬は二つの家を行ったり来たり。この犬に仲をとりもってもらい、犬つきで結婚したんです。「犬のお父さんになってください」と私がお願いしました。

――出会いから結婚まで10年。「今さら」と挙式や披露宴は考えていなかったが、「二人はよくても世間さまは許さない」という妻の母親の後押しで式を挙げた。

妻:キャッチフレーズとは違って、いい奥さんになろうとも思わなかったのですが、よく妻として認めてくださいましたって感じ(笑)。

夫:良妻賢母を期待していたら失敗していたと思いますよ(笑)。三つ指つかれても困るけど、長期の舞台公演や映画となると、当然、家のことはおろそかになるし、僕も海外に出ると、1、2カ月は帰らない。ま、お互い様ですね。

妻:女優という立ち位置があったから、日々の暮らしで追いつめられることがなくて、なんとか家庭と両立させてこられたような気がします。主婦としては、子どもが幼稚園のとき、母の日に書いた言葉が忘れられません。「おかあさん、おさしみをきってくれてありがとう」。私はお刺し身を切るくらいしかできないのか、と(笑)。本当に夫と、いいお手伝いさんに恵まれました。

週刊朝日 2015年10月16日号より抜粋