「全身麻酔が必要な腹腔鏡検査は避けたいという方がいますが、卵管の詰まりや癒着がある場合、治療をすると、自然妊娠が望めます。体外受精の安全性はまだ確立されていないので、自然妊娠に越したことはありません」(齊藤医師)

 齊藤医師は、35歳以下でタイミング法や人工授精を数回しても妊娠しない場合、腹腔鏡検査をすすめている。35歳以下だと体外受精よりも妊娠率が高く、たとえ異常がなくても子宮や卵管の周りを洗浄することで、検査後数カ月は妊娠しやすくなるそうだ。

 また子宮内のポリープが受精卵の着床を妨げることがある。超音波検査でポリープの疑いがあった場合は、子宮鏡検査で子宮内を調べるのが有効だ。腟から細くやわらかい管を挿入して子宮内を観察する方法で、外来で15分ほどですむ。実際にポリープなどの異常が見つかった場合は、後日入院し全身麻酔をしたうえで再び子宮鏡を用いてポリープを取り除く。これだけが不妊の原因であった場合、手術後自然妊娠が期待できる。

 しかしこうした検査や手術は、入院設備が整っていないと実施できない。体外受精に進む前や体外受精をしてもなかなか妊娠しない人は、腹腔鏡検査や子宮鏡検査を受けるという手段もあることを知っておきたい。

週刊朝日 2015年10月16日号より抜粋