世界ランキング14位、日本人選手歴代最高額を獲得したプロゴルファー・松山英樹(23)。先輩である丸山茂樹氏は、彼のさらなる活躍に期待する。

*  *  *

 松山英樹の米PGAツアー本格参戦2シーズン目が終わりました。プレーオフシリーズ最終戦の「ツアー選手権byコカ・コーラ」(9月24~27日、米ジョージア州イーストレイクGC)は12位でした。

 2014-15年シーズンは、米ツアー2勝目はなりませんでしたけど、25試合に出てトップ10入りが9回、トップ25入りは19回。世界ランキングは昨シーズンの20位から14位に上がり、日本人選手歴代最高額の賞金375万8619ドル(約4億5100万円)を稼ぎました。賞金ランクは27位から15位への浮上です。数字がすべてを物語ってますよ。素晴らしい2シーズン目でした。

 それにしても375万ドルかあ。恐るべき数字だと思いますよ。僕が米ツアーの賞金ランク15位ぐらいのときに、賞金は200万ドル台でしたから、試合ごとの賞金が上がってるってこともあるんですけどね。PGAツアー恐るべしですね。どこまでこの繁栄が続いていくんでしょうか。

 
 英樹にしたら、優勝できなかったというふがいなさもあったかもしれないですけどね。まあいつも言うんだけど、まだ23歳ですから。今シーズン初めてメジャーで勝って大きく開花したジェイソン・デイ(オーストラリア)が27歳。まだそこまで4年あるって思うぐらいでいいですよ。

 これから優勝を積み重ねていく未来も、僕は見えてると思うし、1シーズンで複数の優勝もできると思う。そのうち「○年連続優勝」なんてことも出てくるはずです。焦ることはないですよ。今シーズンのこの数字に誇りを持ってもらいたいですよね。賞金ランキング、ワールドランキング。一つひとつの数字に誇りを持ってもらえたら。

 英樹は「全体的に普通になってきた」とコメントしてるみたいですね。2シーズン目で周りの雰囲気、顔なんかわかってきただろうし、米ツアーの1シーズンの動き方も頭と体でわかってきたんじゃないですか? コースに関しても、だいたい自分がこれぐらい頑張ると、このへんにいられるという感覚を把握してきたんだと思いますね。これが経験値ですよ。

 それに1シーズン通じて大きなケガがなかったのも素晴らしい。米ツアーのスケジュールの中で、どの時期に筋力強化していくかってのがわかったはず。それに、トレーナーともいい関係が築けてる証拠ですね。(石川)遼もそうですけど、トレーナーだったりマネジャーだったりという専任スタッフで「チーム」をつくってる。これが機能してるんですよね。

 実は日本人で「チーム」をやり始めたのは僕が最初でした。僕以前の日本選手ってのは、一人でポンとアメリカに来てたんです。これはかなり厳しいですよ。だから僕は最初から英語のしゃべれるマネジャーを用意して、環境作りから始めました。自宅もすぐに決めて、ホテル住まいもしなかったです。だからアメリカで9年間、うまくやっていけたんだと思います。

 英樹には僕の米ツアー3勝を早く抜いてもらいたい。さらっと4勝目をあげて、「あ、丸山さん、おつかれさまでした」って、僕の前を通り過ぎてほしいですね。ワハハ。

週刊朝日 2015年10月16日号

著者プロフィールを見る
丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

丸山茂樹の記事一覧はこちら