今回の決断の理由について「野党がまとまってほしいという国民の声を受け止めた」と志位氏。実際、国会前デモから連なる世論のうねりがある。23日に横浜市内で民主党の枝野幸男幹事長が街頭演説をした際には、「民主党は国民連合政府に協力を!」「民共共闘」などと書かれたプラカードを持った聴衆が多数集結。握手に回る枝野氏に「野党共闘お願いします」などと声をかける人も多く、他の議員の演説中には「野党は連帯!」というコールも起きた。こうした異例の現象が、選挙協力の後押しになる可能性はある。

 とはいえ、道のりは険しい。25日には民主・共産の党首会談が行われたが、民主の岡田克也代表は会見で「共産党と政府をともにするというのはかなりハードルが高い」と硬い表情。維新の松野頼久代表も24日に国会内で志位氏らとバッタリ鉢合わせ、「清水の舞台から一緒に飛び降りましょう」と声をかけられたが、苦笑するのみだった。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう解説する。

「民主や維新の議員や支持者には“共産党アレルギー”も根強く、票が逃げる可能性もあるので全面的な協力は難しい。ただ、共産が一部の選挙区に独自候補を立てず、党員に他の野党への投票を呼びかけるなど、部分的な協力は成立し得るのでは。衆院小選挙区あたり平均約2万票を持つ共産が動く意味は大きい」

“ウルトラ志位(C)”はなるか。

週刊朝日 2015年10月9日号