主人公は、湘南で暮らす60歳の3人の主婦、香織(榊原郁恵)、智恵子(池上季実子)、和子(宮崎美子)。子どもも自立し、経済的にも不自由はなく、それなりに幸せ。だが、夫を「生理的に無理」と感じていたり、夫の認知症が始まったり。それぞれに悩みを抱えた3人が、家に出入りする建築家や年下のホストに恋をする物語だ。

 視聴率は、昼ドラとしてはまずまず。制作した東海テレビの市野直親プロデューサー(45)は、

「将来に対して不安が芽生え始めるのは60歳と聞きます。葛藤を丁寧に描いたので、多くの方にご支持いただいたのでしょう」

 と振り返る。脚本は、NHK連続テレビ小説「あぐり」などを手掛けた清水有生さん(61)だ。主人公と同世代の清水さんによると、友人を見渡しても、配偶者を亡くしたり、離婚していたり、体調を崩していたり。

「老人ではない自負があり、日々、明るく元気に過ごしてはいるけれど、心にざわざわっとした不安が起きるのが60歳です」

 現実にも50代までとは意識が違うと指摘するのは、同窓会代行サービス会社「笑屋」(東京都千代田区)広報の杉浦美咲さんだ。

「50代の同窓会だと、昔の同級生に再会して恋愛に発展するケースもあるようですが、60代以降はガクッと減りますね」

 仕事をリタイアしたり、子どもの手が完全に離れたりして、自分の足元が揺らぐ。そのため、居場所探しに焦る人が増えるという。

「恋愛ではなく、もっとシンプルに『誰か仲間がほしい、会いたい』という気持ちを持つ人が増えるように感じます」(杉浦さん)

週刊朝日 2015年9月11日号より抜粋