自動貸出機を使うと1日1回3円分のポイントがたまるシステムも疑問視されている(※イメージ)
自動貸出機を使うと1日1回3円分のポイントがたまるシステムも疑問視されている(※イメージ)

 2013年4月に市の図書館運営を全国で初めてTSUTAYAとコラボし、注目を浴びた武雄市図書館(佐賀県)。しかし、そこに並ぶのは「公認会計士第2次試験2001」や、シリーズものだが全巻そろっていない「ラーメンマップ埼玉2」など、出版年度が10年以上前で市場価値が低いものばかり。市民から疑惑の声があがっている。

 これらの選書について、市の教育委員会は「TSUTAYAを運営する『カルチュア・コンビニエンス・クラブ』(CCC)に委託して選書していただき、その後、市が確認しました」と話す。CCCに選書した本の購入先について聞くと、こう説明した。

「ネット中古大手『ネットオフ社』より調達。中古流通からの調達は、事前に武雄市にも承諾を得ています」

 ネットオフの運営会社とは、10年にCCCが株式の30%を取得したCCC傘下のグループ企業で、なんと疑惑の選書は全て“身内の新古書店”から購入したものだったのだ。

 ネットオフに、選書された本の費用や当時の単価について問い合わせたが、期限までに回答がなかった。

 ネットオフのHPから、疑惑がもたれている選書の単価を調べてみると、最低価格の108円で購入できるものが多数。1万冊のうち、本誌記者が各ジャンルから抽出した計100冊の平均価格を出すと、なんと一冊あたり“272円”。

「108円は最低価格なので、簿価としては0に近い。ネットの新古書店で流通し、売れなかった本が多数含まれていることになり、公共図書館の蔵書にふさわしくないことは明らかです」(市立図書館の司書)

 図書館問題に詳しい慶応大学の糸賀雅児(まさる)教授は言う。

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