近所の人との交流は、亡くなった妻からの贈り物だ、と話す小山さん。差し入れの料理におなかだけではなく、心も満たされている。

 おひとりさまとご近所がすれ違うこともある。

 都内で雑貨店を開く桂子さん(仮名・60歳)が、「近所の仲良し、恵さん(仮名)」との経験を話してくれた。

「恵さんが20歳上でしたが、お互いプードルを飼っていて気が合ったんです。家の鍵を預かる仲です」

 恵さんは散歩帰りに必ず桂子さんの店に寄っておしゃべりをして帰った。3年ほど前のある日、恵さんが病気で寝込んだ。店に遊びに来ない日が続いたが、店が忙しく、桂子さんは見舞いに行かなかった。

「恵さんはまもなく元気になりましたが、口をきいてくれなくなりました」

 話をしない日が2年も続いた。

「時間が経って、今は普通に話せますが、あなたは仕事が大事なのねと言われてしまって……」

 一人暮らしの生活や権利などに詳しい生活アドバイザーの石川由紀さんは、ご近所がハッピーにつきあうコツを6つ挙げている=下の表。

「病人は心細くなるものだし、桂子さんも後から行けなくてごめんと便箋に記して郵便受けに入れてもよかった。とはいえ訪問してほしくない人もいて、他人との間にはルールがあります」

 頼りすぎや、期待しすぎは禁物だ。

◇ハッピーな関係を続けるための6カ条
[1]要求ばかりしない
[2]100%を期待しない
[3]自慢話をしない
[4]苦手な誘いは断る
[5]あいさつは必ずする
[6]違う環境の人ともつきあう
(生活アドバイザーの石川由紀さんによる)

週刊朝日  2015年8月14日号より抜粋