いったい沖縄はどこまで追い詰められていくのか。辺野古の埋め立てがゴリ押しされた揚げ句、オスプレイがどこかに落ちたらどうなるか。こんな悪夢は実際に起きてはなりませんが、多くの県民が潜在的に持っている不安なのです。沖縄に対する構造的差別に抗するために、もう独立するしかないという気分が広がり始めています。

 5月に翁長知事は沖縄の民意を伝えるため訪米しましたが、今度は国連でスピーチさせようとの動きがあります。沖縄の自己決定権や、辺野古の海の生物多様性など環境権を訴えるために有効だと思います。基地が集中する沖縄の現状を、世界にもっと認知させる必要があります。

 沖縄社会に地殻変動が起きたのは、少なくとも5年前の稲嶺進・名護市長の誕生からです。さらに空気が一変したのは2012年9月、オスプレイ配備に反対する市民らが座り込んで、普天間基地のすべてのゲートを封鎖した時です。基地の機能を麻痺させたのは画期的でした。米軍も驚いたはずです。ゲートは米兵だけではなく、食料からゴミまで出入りする。これを全部ストップさせたら、基地は維持できないわけです。

 沖縄の独立を目指す政治家は、こうした反戦運動の現場から生まれます。誰よりも現場で体を張っている人物がリーダーとなって、まずは地域政党を発足させることです。将来的な「沖縄独立」を綱領に掲げて、那覇市議会や宜野湾市議会で議席を得られれば現実味を帯びてくるはずです。

 独立を支える人を育てる教育が重要です。何より「オール沖縄」で経済界の人たちが立ち上がっているのは心強い。経済の発展がなければ、独立論など空論に終わってしまうわけですから。沖縄の基幹産業は観光です。尖閣諸島周辺で軍事衝突が起きれば、観光客は来なくなります。

 いま安保法制国会が行われていますね。国境がいつも戦争の火種になるのであり、沖縄県民は大きな危機感を抱いています。

 ヤマトゥのみなさん。日本はアメリカから独立しているのですか? 戦後70年も経つのに、国民の税金を使ってアメリカのために新基地を建設する。安全保障もアメリカの言いなりで、不平等な日米地位協定すら改定できない。日本政府こそ、自主独立の精神が根本から失われている現実を直視すべきです。

週刊朝日 2015年7月24日号