もしもマッチ売りの少女が、修造マッチをすっていれば、噴水や富士山や、めくるめく「くいしん坊!万才」の幻影が現れ、燃えさかるマッチの火柱で、きっと凍えずにすんだはず。そして、マッチの精(?)に言われたはず。

「寒い時は、暑いと言え!」

 いつどんな時も、修造はフルスロットル。ある時は松茸を励ましていた。

「松茸はな、松の葉っぱに隠れて目立たないようにしている。だからみんなに愛される。今日からお前は、松茸修造だ!」

 ある時はラーメンと戦っていた。

「ラーメンを食べる時にレンゲを使うな。レンゲは間接キスだ。本気出せよ!」

 ちなみに丼に直接口をつければ、「麺や具すべての顔が見える。これが本当のディープキス!」。知らんがな。

 まっすぐすぎて、熱血すぎて、ポジティブすぎて、ちょっと頭おかしい。そんな素敵な松岡修造を、父に持つとどうなるか。「金スマ」で修造の娘さんのコメントが紹介された。

「よく、ポジティブなお父さんでいいねと言われますが、ポジティブすぎて、けがをしてもおめでとうと言ってきて、本当に痛くて助けてほしい時はウザいです」

 怪我をしてもおめでとう! きっと修造は満面の笑顔で言うだろう。

 そこで私たちは、心の底から確信するのだ。修造は遠きにありて思うもの。そして静かに見守るもの。

週刊朝日 2015年6月26日号