大下:現時点では難しいでしょうね。

二階:できるわけないじゃないですか。それなら平和的に仲良くやっていこうという絆を、文化、スポーツ、青少年らの交流などを通じ築き上げる知恵がなければ、日本の存在はきっと危ういものになりますよ。面会した時、習主席は「隣人は選ぶことができるが、隣国は選ぶことができない。徳は孤にならず、必ず隣あり(本当に徳のある人は孤立したり、孤独であるということはない)」と言われましたよ。私は確信を持って、日中友好を進めようと思いました。

大下:習主席とはどんな話をしたのですか? 

二階:私が安倍晋三首相からお預かりした親書を手渡したら、「安倍首相にもよろしくお伝えください」「首相とは2度お会いしているので、今後もお互いの戦略的互恵関係をしっかり進めていきたい」とおっしゃっていました。

大下:日中首脳会談の実現への“密伝”は?

二階:こう言っちゃ、失礼ですけど、これまで満足な首脳会談であったのかどうかというのはテレビをご覧の方はわかりますよね。中国高官に私は「日本の首相がわざわざ行っているのにあの態度はないでしょう」と随分、申し上げたことがあります。今回、習主席から、安倍首相からの親書を頂いたことを重視するとの発言もありました。「このまま進めていければ、良い結果になるのではないか」と前向きな姿勢を示されたのです。安倍首相には北京から電話で(習主席との会話の)ポイントだけを報告しましたが、非常に喜んでおられた。今後、首脳会談の実現に期待しています。

大下:今後も習主席とはコンタクトは取るのですか。

二階:お礼の手紙ぐらいは出さんといかんかなと思っています。今後、安倍首相と習主席を繋(つな)ぐ意味でも知っておいていただきたいこともいろいろとありますからね。

(構成 本誌・上田耕司)

週刊朝日 2015年6月12日号より抜粋