「むしろ、日本列島はこれまでが異常なほど静かな時期でした。東京ドーム250杯分の火山灰を出すような大噴火は17世紀以来100年に4~6回は起きてきたが、1914年の桜島と29年の北海道駒ケ岳を最後に途絶えている。昨秋の御嶽山噴火の火山灰は東京ドーム約4分の1杯分。今回の噴火でも、それよりもう一桁大きい程度。はるかに大規模な噴火が21世紀中に複数回起きてもおかしくないわけです」

 まさに「列島火山時代」の到来である。活火山だらけの国土で生きる宿命を背負ったわれわれが、次に警戒すべきはどこなのか。

「箱根山、富士山、蔵王山、吾妻山、草津白根山などは警戒しなければならないと思います。特に箱根山は最後に噴火したのが鎌倉時代とみられていますが、不思議なことに何も文献が残っていない。何度も噴火が観測されている桜島や阿蘇山などと比べて噴火の兆候をつかみづらく、事前の予測も困難です」(島村氏)

 約3200年前の箱根山の大噴火では、かつては3千メートル級の高さだったという山体の上半分が吹き飛び、火砕流は静岡県まで達したという。身近な観光地のもう一つの顔である。

「箱根山では今は小規模な水蒸気噴火が警戒されているようですが、大規模な噴火が起きない学問的な保証はまったくありません。また、箱根山と富士山は成り立ちからしても兄弟といっていいほど関連がある。大涌谷周辺で起きていた地震の震源が最近、静岡県側にも動いてきており、富士山への警戒も怠ってはなりません」(同)

週刊朝日 2015年6月12日号より抜粋