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 外出したときに困るのが、公衆トイレなどの温水洗浄便座がきれいかどうかだ。他人が使っていることもあってか、つい便座に直接座らないようにしたい衝動に駆られることもある。

 こうしたトイレの衛生面を研究したのが、東海大学の松木秀明教授と片野秀樹研究員らの2009年の調査だ。この研究で、温水洗浄便座の温水タンク内に細菌が繁殖しやすいことがわかった。調査を企画した東海大健康科学部名誉教授の田爪正氣(せいき)氏は、細菌が発生するまでのメカニズムをこう明かす。

「温水タンク内にためられた水は、塩素消毒された水道水。それが37度から38度に温められることで、塩素が蒸発し、菌が繁殖しやすい状況になります」

 調査では、08年の1年間、一般家庭のトイレを80カ所、公共施設やデパート、ファストフード店など28カ所の局部洗浄水を採取。その結果、一般家庭では水道の水質基準の平均31倍、公共施設では10倍の細菌が見つかった。不衛生だと思いがちな公衆トイレよりも、一般家庭のほうが3倍ほど細菌が多かった。

「温水洗浄便座を使用すればするほど、温水タンク内の水は循環し、塩素入りの水道水に入れ替わります。調査を行ったのは午後1時から3時の間。その時間だったら一般家庭より、公共施設のほうが使用頻度が高くなる。だから、デパートが開く前の朝10時などに調査すれば、同じくらいか、むしろデパートのほうが多くの細菌が発見されるはずです」(田爪氏)

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