07年から2年間、劇団四季に所属し、数々の作品で主役を務めてきた。大学にも進学していたため、学業と芝居の両立がどうにも難しくなり、劇団四季を退団し、7年がかりで大学を卒業。4年前にホリプロに所属してからは、舞台のみならず、ドラマや映画など、映像作品にも積極的に出演している。

「四季のときは、努力すればちゃんと結果が出たというか、課題をクリアするのは得意なほうだったんです。でも今は、たとえばCMや映画のオーディションを受けにいっても、まず受からない(苦笑)。劇団のときよりも厳しいな、と思います。ハートもそんなに強いほうじゃないので、『向いてないんじゃないか』と思うこともしょっちゅうです」

 蜷川幸雄さんの演出を受けたのは、12年の舞台「海辺のカフカ」が初めてだった。そのときは、まったく太刀打ちができず、昨年、再演に向けての稽古では、「蜷川さんに成長したと認めてもらえなかったら、役者を辞めよう」とまで思い詰めていた。

「幸いなことに、『成長したな』と言っていただけたので、『続けていいんだ』と安心しました(笑)。僕にとっては栗山さんも、自分の中にある情熱を焚き付けてくれる存在です。11年から毎年、『スリル・ミー』という舞台に呼んでいただいているんですが、稽古のときの、『よくなっているな』という言葉を、心の支えにしています。今回の『デスノート』が栗山さんとの最後の舞台にならないといいんですが(苦笑)」

 やる気を前面に押し出していくタイプではないが、“これ”と決めたら猪突猛進。その実力を花開かせるのは、いつも稽古であり、舞台だ。

週刊朝日 2015年3月20日号