第2次安倍改造内閣について、文筆家の北原みのり氏はこういう。

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 1カ月ぶりにこんにちは。しばらく「書くこと」をお休みしていたら、女性閣僚最多の内閣が誕生していました……。変化、早いっすね、最近の日本。

 政府は2020年までに指導的地位に立つ女性を少なくとも30%にしよう、という目標数値を掲げている。その数値を意識したのか、18人の大臣のうち女性が5人。心から惜しい! あと1人、足りないです!

 さて、女だからといって、女の味方ではないというのは言うまでもないので(オッサンの味方をしていた方がオトクだと考える女は少なくないですし)、第2次安倍改造内閣が女に優しい内閣なのかどうか、きちんと見極めなくてはなりません。

 で、やっぱり気になるのは今回初めて登場した「女性活躍相」とやら。何すか、この名前。男性の方、試しに「男性頑張れ相」と声に出してみてください。うっすらバカにされてるような気分になりません? 名は体を表すと言うけど、こんなお役所のキャンペーンみたいな軽いネーミングで男女平等社会を目指せるんでしょうか。

 そしてこの「女性活躍相」に選ばれたのが有村治子氏。妊娠中絶反対、夫婦別姓反対を表明し、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーだったりと、ゴリゴリの保守。そしてまた国会議員として任期中に出産した、4人目の議員だそうだ。

 ちなみに1人目は1950年の園田天光光氏。「無節操」と激しいバッシングを受けた。そして2人目が2000年の橋本聖子氏。この時もさんざん「議員を辞めろ」という声が沸いたけど、野田聖子氏らと共に国会議員の産休を制度化させた。橋本氏、自らセクハラ騒動おこしちゃったけど、彼女がやられてきたセクハラ歴も相当なものだったろうなと察する。だってこの国、50年、女の議員が一人も出産しなかったんだよ!

 有村治子氏が今後どういう仕事をするのか見守るしかない。過去の発言をみると、とてもじゃないけど期待できないけど、永田町という最も過酷な男社会で働く女たちが、どのように「活躍」できるのか、じっくり「監視」するしかない。

週刊朝日  2014年9月26日号

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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