安倍内閣が閣議決定した新成長戦略の目玉となる「カジノ解禁」。

「日本へシンガポールと同程度(約5千億円)を投資する用意がある」と豪語する米国最大のカジノ運営会社、シーザーズ・エンターテインメントのゲーリー・ラブマン最高経営責任者(CEO)を6月末、本誌は都内でインタビューした。

 ハーバード大学ビジネススクールの准教授を経て、独自の顧客分析プログラムを開発し、業績を驚異的に伸ばすという、異色の経歴の持ち主のラブマン氏は、途中、本誌を逆取材した。

「安倍さんが最近、発表した彼の新成長戦略の評価は、どうなの?」

 記者が「改革はあまり期待できないが、カジノ解禁については歴代政権の中では、最も積極的だ」と説明すると、大きくうなずいた。

 IR(カジノ、ホテルなど商業施設を併設する統合型リゾート施設)推進法案は6月に審議入りし、早ければ秋の臨時国会で成立する見通しだ。

「推進法が成立すれば、かなりダイナミックになるだろう。マカオ、シンガポールより質の高い、モダンでデジタル化されたIR施設を建設できる。日本人は所得が多く、東京、大阪は国際都市で海外観光客も多く、魅力的なマーケットです」

 カジノでは多額の賭け金を使う人のことを「ハイローラー」と呼ぶという。

「スーパーハイローラーは中国人で1日100万ドル(約1億円)使う人もいる。日本人でそこまでの人はいないのでは? 松井一郎大阪府知事に『ぜひ、大阪で』と言われ、ありがたいと思っていますが、ターゲットは大阪だけではありません」

 2020年に東京五輪が開催されるため、現時点で大本命となっているのは、東京都のお台場だ。それまでにカジノは始動するのか。

「かなりチャレンジングな日程。法案は推進法と実施法の2本なので国会審議に時間がかかる。さらにコンペがあり、落札して着工。東京は建設ラッシュなので、間に合うかな……」

 お台場誘致の旗振り役のフジテレビ、鹿島、三井不動産などの国内勢とも接触しているという。

 市場規模19兆円というパチンコ文化に慣れ親しんだ日本にカジノが根づくかと尋ねると、こう答えた。

「パチンコはいわば、コンビニ感覚。われわれの施設はスケールが違います」

 今後は3カ月に1回のペースで来日する予定という。争奪戦は激化しそうだ。

(本誌取材班)

週刊朝日  2014年7月4日号