医療現場で働く関係者の姿に、憧れを抱く志望者も多いに違いない (c)朝日新聞社 @@写禁
医療現場で働く関係者の姿に、憧れを抱く志望者も多いに違いない (c)朝日新聞社 @@写禁

 医療系学部が受験生に人気だ。だが当然のことながら、大学に進むだけでは実務に就くことはできない。国家試験を突破する必要がある。例えば東大医学部の医師国家試験の合格率は90.2%。全員合格とはいわないまでも、さすが大半の学生が合格している。しかし、本誌が調査した医師国家試験合格率ランキングによれば、東大医学部は意外なことに、48位と全80大学の中で下位に沈んでいることがわかる。

 背景として、東大医学部では臨床医より研究医を志望する学生が少なくないという実情もある。加えて合格率ランキングは相当な“大混戦”だ。トップ10は99.1%から97.1%までの大学が競り合い、小数点第1位の差で順位が変わってしまう。

 とはいうものの、国立大の場合、東大に続く偏差値70クラスの大学でトップ20内にランクインしているのは7位の東京医科歯科大と19位の千葉大だけだ。偏差値70ながら、東北、京都、大阪、九州の4大学はトップ20の圏外という結果になっている。

 私立大の偏差値トップは慶應義塾大で72.5だが、こちらも25位。偏差値70クラスで20位以内となったのは3位の順天堂大と14位の日本医科大、19位の東京慈恵会医科大だけだ。

 むしろ合格率のトップ20には、偏差値60台と比較的“入りやすい”大学が目立つ。トップ2の自治医科大と筑波大の偏差値は67.5、3位の福島県立医科大は65、16位の佐賀大は62.5だった。

 医学部はどこも難関ぞろいとはいえ、医師になるという目的だけを考えるならば、“偏差値至上主義”はあまり意味がなさそうだ。無理をして難問大学を目指すよりも、医師を目指す学生の能力を高めてくれる大学がたくさんあるのだ。

週刊朝日  2014年4月25日号より抜粋